最低賃金とは

最低賃金とは、最低限支払わなくてはいけない賃金の限度額のことです。正確には「最低賃金制度」といい、最低賃金法によって国が賃金の最低限度額を設定しています。

2種類の最低賃金

最低賃金には、「地域別最低賃金」と「特定(産業別)最低賃金」の2種類があります。

地域別最低賃金

各都道府県ごとに設定されている最低賃金です。業種や職種に関わりなく全ての労働者に適用されます。単に”最低賃金”と言った場合にはこちらのことを指すことが多いようです。

平成23年度の最低賃金額で最も高いのは東京都の837円、逆に最も低いのは岩手県、高知県、沖縄県の645円となっています。

特定(産業別)最低賃金

その名の通り、特定の産業において設定されている最低賃金額です。対象となる産業は都道府県ごとに異なります。

例えば北海道の場合は「処理牛乳・乳飲料、乳製品、糖類製造業」や「鋼船製造・修理業」、「船舶製造・修理業」など、東京都の場合は「鉄鋼」や「出版業」などが指定されています(詳細は厚生労働省のWebサイトで確認)。

※通常は「特定(産業別)最低賃金」の方が高めに設定されており、「地域別」と「特定(産業別)」の両方が適用される場合には、「特定(産業別)最低賃金」の額 を適用する必要があります。

最低賃金の調べ方

最低賃金は、厚生労働省のWebサイトより調べることが出来ます(最低賃金早見表)。毎年10月〜11月にかけて改定が行われるので、その都度チェックしておきましょう。

自分の住んでいる都道府県の最低賃金をとりあえず覚えておくと、求人情報の給与額を見る場合の参考になります。

対象となる賃金について

賃金の全てが最低賃金の対象となるわけではありません。対象となるのは、いわゆる基本給のみで、残業代やボーナス、交通費などは対象外です。基本給だけで最低賃金以上である必要があります。

残業代や交通費を含めた給与額が最低賃金以上であっても、基本給が最低賃金額以下ではいけないということになります。

こんな場合はどうなる?最低賃金のいろいろ

住んでいる住所と勤務先の住所が異なる場合

最低賃金は都道府県ごとに設定されているわけですが、労働者の住所と勤務先の会社の住所が異なる場合はどちらの額が適用されるのでしょうか?

これは勤務先の都道府県の最低賃金が適用されることになります。例えば、千葉に住んでいる人が東京都内の会社で働く場合には、東京都の最低賃金が適用されます。

派遣労働者の場合

派遣会社に勤めている場合の最低賃金はもう少し複雑です。派遣会社(派遣元)の住所と勤務先(派遣先)の都道府県が異なる場合はどうなるのでしょうか?

派遣労働者の場合も、勤務先の都道府県の最低賃金が適用されます。つまり、派遣会社の所在地に関わらず、派遣先の都道府県の最低賃金が適用されるわけです。

給与が日給制や月給制の場合

最低賃金の額は時給で示されていますが、もちろん日給制や月給制の場合にも適用されます。

日給制の場合は「日給÷1日の所定労働時間」の額が最低賃金以上である必要があります。一方、月給制の場合は「月給÷1箇月平均所定労働時間」が最低賃金以上でなくてはいけません。

出来高制や請負の場合

出来高制(歩合制)や請負の場合であっても最低賃金を守らなくてはいけません。出来高制の場合は、「賃金の総額÷当該賃金算定期間において出来高払制その他の請負制によって労働した総労働時間数」が最低賃金以上である必要があります。

試用期間や研修期間中の最低賃金

試用期間や研修期間として労働者を雇う場合でも最低賃金以上の給与を設定しなくてはいけません(一部例外あり)。求人情報の中には、試用期間中の給与が最低賃金を下回っているようなケースを見かけることもありますので、十分に注意しましょう(試用期間中の最低賃金をもっと詳しく)。

最低賃金より低い給与額の求人を見かけたら

もし自分が応募しようと思った求人案件の給与額が最低賃金以下だった場合は、その求人メディアを運営している会社、もしくは求人募集を行っている会社に問い合わせてみましょう。意図的に低い金額を掲載しているような悪質なケースは少なく、大抵はメディア会社側の掲載ミスか、雇用主の勘違いであるケースが多いようです。